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AI時代になくなる営業、なくならない営業 ~全営業マンに贈る生き残りハック~

2019年12月13日

AI時代になくなる営業、なくならない営業 ~全営業マンに贈る生き残りハック~

 

「10年後、今ある仕事の半数はAIに置き換えられる」

英オックスフォード大学でAIの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授が発表した衝撃的な内容。

 

 

翌年には野村総合研究所が「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能となる」と発表しています。

 

 

果たして、我々のような営業マンはどうなってしまうのか?

この記事では、

  • そもそも「AI」とは何か?
  • 全ての営業マンがAI時代に生き残るためのハックは?

を、今年3月に実際にオズボーン准教授にお会いした私が解説します。

 

AI時代になくなる営業、なくならない営業 ~全営業マンに贈る生き残りハック~
実際にお会いして、営業の将来について語り合いました!

 

そもそも、AIとは何か

 

AI時代になくなる営業、なくならない営業 ~全営業マンに贈る生き残りハック~

 

本題に移る前に、昨今新聞やテレビでその単語を聞かない事は無い「AI」について解説します。

 

AI時代になくなる営業、なくならない営業 ~全営業マンに贈る生き残りハック~
僕の仕事は無くならないだろうか・・・

 

とビクビクする前に、流行りのキーワードの実態について正確に理解することが必要です。

 

そもそも、AIとは何か

 

あなたは

  • AI(人工知能)
  • 機械学習
  • ディープラーニング

それぞれの単語の意味と関係性を正確に説明できますか?

答えはこちら。

 

AI時代になくなる営業、なくならない営業 ~全営業マンに贈る生き残りハック~

 

  • AI・人工知能:人工的に作られた、人間のような知能全般
  • 機械学習:機械に過去データを学習させ、傾向を見出させること
  • ディープラーニング:機械学習の一手法。明示的なデータ(特徴量)を与えなくても、機械がデータの特徴を見出してくれる点が特徴

 

と整理することができます。

昨今「AI」「AI」と言われていますが、実はいわゆるドラえもんのようなAIが存在するわけではありません。

人工知能の研究分野で昔から言われている「強いAI」「弱いAI」という考え方があります。

まとめると以下です。

  • 強いAI:人間が心を持つのと全く同じ意味で、心を持つAI。まだ存在しない(例:ドラえもん、ターミネーター)
  • 弱いAI:限定された知能によって、一見、知的な問題解決を行うもの(例:囲碁に強いAlphaGO、クイズに強いWatson、チェスに強いDeep Blueなど)

※「人工知能は人間を超えるか」より抜粋

 

今ビジネスの現場で一般的に使われているのは、広く「AI(人工知能)」と呼ばれるものの中で「弱いAI」と呼ばれるもの。

この「弱いAI」でよく使われるのが「機械学習」というテクノロジーです。

昨今の第三次AIブームの立役者が、この機械学習(特に「教師あり機械学習」)。

最近はこの機械学習の事をAIと呼んでいるケースが多いのです。

 

機械学習とは何か

 

教師となる過去データをアルゴリズムにひたすら読み込ませることで、その傾向を覚え込ませる事ができ、未知のデータ(予測データ)の予測に利用できます。

例として、社員の退職予測を元に説明します。

 

教師データ(過去のデータ)

社員番号 年齢 性別 学歴 所属 評価 年収 退職
001 25 大学 営業 A 500 No
002 34 高校 事務 B 600 Yes
003 48 大学院 研究 C 700 No
004 33 専門 総務 D 600 Yes
999 58 大学 人事 E 800  No

 

 

予測データ(未知のデータ)

社員番号 年齢 性別 学歴 所属 評価 年収
1001 31 女性 大学 人事 C 450
1002 22 男性 大学 研究 B 400
1003 39 男性 大学院 営業 D 650

 

 

機械学習による予測結果

社員番号 退職率
1001 15%
1002 20%
1003 7%

 

 

要は、「年齢」「性別」「学歴」・・・などの属性情報を元に、退職しやすい社員とそうでない社員の傾向を分析することができます。

仮に「『社員番号:1001』が15%の確率で退職する」事が判明したら、ここから先は人間の仕事。

恐らく面談をしたり、ワークライフバランスを見直したり、配置転換などをするのでしょう。

そうやって、具体的な退職防止施策につなげることができるわけです。

 

AI(機械学習)でできること

 

上記は人事領域における退職予測の例ですが、他にも以下のような業務における予測で実際に活用されています。

 

業務名 詳細
レコメンデーション A商品を買った人に、関連するB商品を推奨する
与信 この人には幾らまで貸し付け可能かを予測する
品質予測 完成品の不良を製造工程の上流で突き止める
試験結果予測 製品化可能性を研究段階で予測する
来店者数予測 店舗の時間帯別来店者数を予測しシフト作りに役立てる
会員属性予測 会員の属性を予測し、最適なDMを配信する

 

 

AI(機械学習)ではできないこと

 

一方で、以下のような状態の場合には、AI(機械学習)は適しません。

 

状態 詳細
データが無い 故障予知をしたいが、故障した際のデータが無い。受注予測をしたいが競合情報が無い・受注情報ばかりで逸注時のデータが無い。など
データが汚い 欠損が多い、表記揺れがひどい(「株式会社」「(株)」「カ)」など)
データが信用できない 受注予測をする際の営業担当の案件確度申告や、★1 or ★5に偏りがちな商品レビュー情報など(そもそも★3ならレビューしない)
そもそも予測できない 株価の予測(ランダムウォーク)、精緻な地震の発生予測など ※そもそも専門家でも予測できないもの
特徴量が多すぎる 機械学習で取り扱うには特徴となる情報が多すぎる天気予報など(この場合はスパコンや衛星画像との組み合わせなどで予測)

 

 

ここまで「AI(機械学習)でできることとできないこと」をまとめてみました。

ここから先は上記を踏まえ、AI時代になくなる営業となくならない営業、その理由をまとめてみます。

 

AI時代になくなる営業

 

AI時代になくなる営業、なくならない営業 ~全営業マンに贈る生き残りハック~

 

ここからが本題「AI時代になくなる営業」とその理由です。

 

単純な物販営業

 

単純な物販営業とは、例えば以下のような営業です。

  • 広告の営業(54%)
  • 不動産営業(86%)
  • 保険の営業(92%)
  • 小売店舗の店頭販売員(92%)

 

職業の右側に書いてある、%(パーセンテージ)。

この値って、何だと思いますか?

 

・・・実はこれは、冒頭で説明したオズボーン准教授の論文「雇用の未来」の中で説明されている10年以内にAIに取って代わられる確率です。

 

これらの営業職の仕事は、基本的には製品についての説明をすれば良く、まさにこれはAIの得意領域。

「貴方という営業から買いたい!」という必然性が無ければ、そのうち淘汰されてしまう営業職といえます。

 

個人向け訪問営業

 

これはAI時代が到来に関わらず、いずれ消えゆく運命にある営業の一つです。

個人がインターネットから自由に情報を入手できる昨今、わざわざアポなしで自宅に来る営業からモノを買う必要はありません。

あなたは、ある日突然自宅にやって来た訪問営業から何かを買ったことはありますでしょうか?

ちなみに「雇用の未来」の中では、個人向け訪問営業は94%の確率で無くなると紹介されています。

 

法人向けルートセールス

 

「ルートセールス」とは、特定の既存顧客に向けて営業が足げく通い、受注を取り付ける、いわゆる御用聞き営業の一つです。

余程その顧客に精通し、コンサル的に製品を提案できる営業でない限りは、上記の「単純な物販営業」と同じく淘汰される運命にあります。

仮にこの記事を読んで憤っているルートセールスがいたら、貴方は顧客にどんな価値を提供できているかを自ら自問自答してみると良いでしょう。

カタログを広げて顧客に選んでもらうような手法は、既にAmazonに取って代わられつつあります。

むしろレコメンデーションやレビューの情報があるAmazonの方が、一般的な営業より高付加価値です。

 

営業事務

 

これはむしろ説明するまでもないですが、念のため営業事務についても触れておきます。

営業職のスケジュール調整や見積作成、各種事務処理を行う営業事務についても、ほぼ確実に無くなる仕事といえるでしょう。

この領域は、AI(機械学習)ではなく、RPA(Robotics Process Automation)というテクノロジーの得意分野です。

「雇用の未来」の中では、96%の確率で無くなる仕事と紹介されています。

 

AI時代でもなくならない営業

 

AI時代になくなる営業、なくならない営業 ~全営業マンに贈る生き残りハック~

 

それでは「AI時代でもなくならない営業」とはどんな営業かを説明します。

ここから説明する営業は、なくならないどころか更に希少性が高まり、高年収を見込める営業です。

 

ソリューション営業(コンサルティング営業)

 

PASONAのwebサイトを引用します。

 

ソリューション営業とは、顧客の課題や問題点に対する解決案としてサービスや製品を提案していく営業活動のこと。提案営業と近しい意味。

 

 

つまり、顧客の課題や問題点をヒアリングし、因数分解し、それを解決するためのサービスや製品を提案していく、コンサルティング型営業です。

先に説明したAI(機械学習)に取って代わられない理由は、

  • 課題が柔らかいため、即時に具体解決策を提示しにくい(AIの不得意分野)
  • AI(機械学習)するための教師データを集めにくい。守秘義務や顧客属性もあるため、ほぼ収集不可能

だからです。

課題解決型(コンサルティング型)の営業は、AIに取って代わられる事なく、今後も生き延びていくでしょう。

 

技術営業

 

ELITE NETWORKの記事を引用します。

 

技術営業とは、技術のバックグラウンドや専門知識を活かして顧客へ営業活動を行う職業です。例えば電子機器の技術営業の場合、製品の提案をするだけでなく、技術サポートや、顧客からの技術的な質問に対応したり、必要に応じて製品のカスタマイズや設計を行ったりもします。

 

 

要は単純な製品紹介だけでなく、顧客とのQ&A、製品のオーダーメイドにも対応する営業職です。

労働力不足の日本においては、技術専門職や研究員は自社の競争力向上に注力しないといけません。

この領域にまで踏み込める営業の希少価値はどんどん高まっていきます。

 

ちなみに、冒頭で紹介した英オックスフォード大学オズボーン准教授は、技術営業(Sales Engineers)が無くなる確率を、

 

0.4%未満 ※ほぼ無くならない

 

と予測しています。

 

AI自体を取り扱う営業

 

最後は少し視点を変えて「AI自体を取り扱う営業」です。

当然、AI製品を導入するには営業が必要。

更に、複数あるAI製品を比較・検討・提案することは、AIにはできません。

AI自体を取り扱う営業は、今後ニーズが高まってきます。

 

AI時代を生き残る営業になるために

 

AI時代になくならない営業を見て頂けると分かると思いますが、ポイントは営業スキル単独ではなく、その他スキルとの掛け合わせです。

  • 専門性(組み合わせスキル)を持たない営業は、淘汰される
  • 専門性(組み合わせスキル)を持つ営業は、更に希少価値が上がる

随所に紹介している「雇用の未来」の中では、以下のように、淘汰される仕事とそうでない仕事(希少価値が上がる仕事)が二極化すると解説されています。

 

AI時代になくなる営業、なくならない営業 ~全営業マンに贈る生き残りハック~

 

過去の長い歴史の中で淘汰された仕事はありますが、その代わりとなる新たな雇用が生まれています。

馬を使った農耕作業員は、トラクターの運転手として生まれ変わったはず。

但し、こうなるとそれまで農耕作業員として培ってきたスキルはゼロリセット。トラクター運転手としてゼロから競争を開始することになります。

 

これをどう見るかはあなた次第。

個人的には、今から取れる対策を取り、営業マンとしての生き残り施策を模索するのがおすすめです。

 

AI時代を生き残る営業になるために 私の場合

 

私は先に紹介した「AIを取り扱う営業」になることを決めました。

うだつの上がらない営業でしたが、データサイエンスを学ぶことにより、それなりの地位を築き、年収も上がり、現在はプレーヤーを卒業しセミナーや講演活動を行っています。

私が行った活動は主に以下。参考までにご紹介します。

 

プログラミングを学ぶ

 

まずはプログラミングの勉強です。

昨今は教材が溢れているので勉強ネタには困りません。

私は主にkaggleという競技プログラミングサイトを活用し、pythonを自習しました。

 

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プログラミング関連の記事まとめ

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またAI資格の登竜門、G検定も受講しました。

 

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G検定関連の記事まとめ(JDLA ディープラーニング ジェネラリスト検定)

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実際にAI製品を取り扱ってみる

 

pythonを学ぶのと並行し、実際に顧客に向けAI製品を提案してみました。

先に紹介した以下のAIテーマは、実は全てお客さんから頂いたリクエストについて、一緒に対応を考えたものとなります。

 

業務名 詳細
レコメンデーション A商品を買った人に、関連するB商品を推奨する
与信 この人には幾らまで貸し付け可能かを予測する
品質予測 完成品の不良を製造工程の上流で突き止める
試験結果予測 製品化可能性を研究段階で予測する
来店者数予測 店舗の時間帯別来店者数を予測しシフト作りに役立てる
会員属性予測 会員の属性を予測し、最適なDMを配信する

 

※当ブログは、以下の書籍を参考に執筆させて頂きました

 

「営業とAI」に関する記事は以下にまとめています。

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