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【文系営業職向け】AI人材になるための方法~軸ずらしで目指す希少人材~
オックスフォード大学のオズボーン准教授は、論文「雇用の未来」の中で、10年後には今の仕事の半分がAIに置き換えられると発表しました。
その中には、
- 広告の営業(54%)
- 不動産営業(86%)
- 保険の営業(92%)
- 小売店舗の店頭販売員(92%)
といった、我々営業マンにはなじみの深い職種の名前もあり、世界中に衝撃が。
※ちなみに職業名の右側のパーセンテージは「10年後に無くなる確率」です
当記事では、AIになじみの薄い文系営業マンに向け、あなたが「AI人材」になるためにはどうすれば良いか?を具体的に記載しています。
当記事の対象者
- AI人材になって活躍したい営業マン
- 良い企業に転職したいけど、どんなスキルを身につければよいか分からない営業マン
- 「そもそもAI人材って何??」と気になる営業マン
AI人材とは何か
実は「AI人材とは何か」について明確に定義している省庁や法人はありません。
記事執筆時点、AI人材の考え方の過渡期になりますので、「これまで」と「これから」に整理して解説します。
これまでのAI人材
これまでの世間一般的なAI人材とは「AIを作る人」を意味していました。
企業が保有するデータを収集し、整形し、法則性を見出し(データモデルを作成し)、未知のデータを予測する。
数理や統計に精通した、いわゆるデータサイエンティスト=AI人材でした。
- AIを作るためのプログラムやサーバ環境準備といった技術論
- AIを賢くするための手法の選定法
- 学習データをどのように学習すれば良いかといった技術
AIを「作る」環境は整ってきており、この領域のエンジニアやデータサイエンティストは増えつつあります。
これからのAI人材
実はこの「AIを作る技術」について、徐々に自動化も進んできています。
「AutoML」という、AIプログラムを自動で作る技術が徐々に台頭してきているからです。
※詳細は以下の記事をご参照下さい。
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私がPythonを勉強しようと思ったわけ
続きを見る
一方で、作られたAIを使う方法や、利用を管理する手法、そもそも「どんな領域にAIを適用すべきか」という企画周りに注目している人はほとんど存在しません。
出典:東洋経済「理系人材VS文系人材、AI活用の主役はどっち?」
- そもそも、どんなAIを作るべきか(AI企画)
- 作るに際し、どんな技術を選択すべきか(AI選定)
- AIの現場導入・利用管理
といった、理系職の担当エリア「AIを作る」以外の領域に目を向けている人は少ないのです。
前述のエンジニアやデータサイエンティストが、AIを作る片手間で、企画や選定、現場導入を行っています。
ここに、文系職がAI人材として生き残るヒントが隠されています。
営業がAI人材になるための具体的な方法
我々のような文系営業職がAI人材になるにはどうすれば良いか?
具体的には以下のような流れが良いです。

①目指す職種を明確にする
まずは上記の図の中で、目指す職種を明確にしましょう。
私は、これまでのアカウント営業の経験を活かして、
- AI企画
- AI方針・投資判断
という領域で勝負できる営業になることに決めました。
これまで自身が行ってきた、大企業向けのアカウント営業と親和性があると考えたからです。
私と同じ文系営業職であれば、まずはこの領域を目指すことをおすすめします。
プログラミングや数理・統計を勉強して理系AI職の領域を目指すのも良いですが、この領域はこれまで培ってきた営業としての経験が活きます。
顧客企業内における企画や投資判断は、まさに営業職が顧客に提案する領域。
大学院を出た数理・統計に精通している理系AI職と同じ領域で勝負しても勝ち目がないばかりか、これまで培ってきた営業のスキルが活きないので、勿体ないです。
ココがポイント
これまでのスキルを活かせる「AI企画」「AI方針・投資判断」の役割を狙う
②AIの概要を理解する
目指す領域が明確になったら、最低限AIの概要を理解しましょう。
以下の記事で紹介している書籍を読めば大丈夫です。
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文系がAI(人工知能)を理解するためにおすすめの本6+3選
続きを見る
まずは最低限、会話についていける程度の理解でOK。
一番良くないのは、勉強段階でつまづいて、実際に動かしたり実務で使うフェーズにたどり着けないこと。
良い大学を出た、頭の良い人に陥りがちな行動パターンです。
ざっと概要を理解したらすぐに次に進む。
続きは業務の中で覚えていけばよいです。
一方「私はちゃんと全般を理解したいんだ!」という人には、資格取得がおすすめ。
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G検定関連の記事まとめ(JDLA ディープラーニング ジェネラリスト検定)
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③AIを動かしてみる
書籍を読むとすぐに気づくと思います。
近年ビジネス上で「AI」と呼ばれているものの正体は、主に「教師あり機械学習」だという事を。
そこで、実際にAI(教師あり機械学習)を体感してみましょう。
やり方はいくつかありますが、どれでも構いません。
とにかく動かしたことのある人とない人では、ビジネス上で発する言葉の力強さが全然違うからです。
無償ソフトウェアを利用する
SonyがAIソフト「Prediction One」を無償提供してくれています。
これをダウンロードし、インストールして、様々なデータを導入してデータモデルを作ってみましょう。
投入するデータは、自分が持っているデータでも何でも構いません。
最近はGoogleでもオープンデータを検索できますし、以下のようなコンペティションサイトの練習問題のデータを利用しても構いません。
書籍を参考に自分でコーディングしてみる
以下の書籍を購入し自己学習すれば、一通り理解することができます。
それなりの厚みのある本ですが、
- 自分のPCへの開発環境のインストール方法
- データの前処理の方法
- データモデルの構築方法・予測方法
など、機械学習の一通りの事がこの本に凝縮されており、かつ説明が丁寧です。
コンペティションサイトに挑戦する
個人的に一番おすすめなのがこの方法。
登録されているデータを各自がダウンロードし、予測モデルを作り、その精度を競い合う、いわゆるコンペティションサイトです。
上記の2つ「無償ソフトウェアを利用する」「書籍を参考に自分でコーディングしてみる」と比較すると若干ハードルが高いかもしれません。
中でも、最も有名なのが「kaggle」という海外のサイト。
世界中の腕利きのデータサイエンティストが参加しているだけではなく、一部有志が自分のコードを公開してくれたり、学習環境まで無償で提供してくれているので、非常に勉強になります。
詳細は以下の記事をご参照下さい。
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Python初心者こそkaggleから始めるべき3つの理由
続きを見る
kaggleの唯一の弱点は、日本語に対応していないという点。
英語が苦手な方には、国産の「SIGNATE」や「nishika」というサイトもありますので、こちらもおすすめです。
SIGNATEやnishikaは、学習環境は提供されていないので、以下の記事を参考に自身のPCに開発環境を構築して下さい。
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【kaggle入門】Python環境構築 Anacondaのインストール
続きを見る
④業務でAIに携わってみる
ここが一番重要です!!
ここまできたら、実際の業務の中でも、何らかの形でAIに携わってみましょう。
AIをかじって、動かしてみただけではダメ。
実際に使わないと定着しないですし、磨かれることも無い。
営業として、自信を持って相手に伝えることはできません。
- 自分の業務のどこかに、AIを取り入れてみる
- 社内のAIプロジェクトに首を突っ込んでみる、または自ら導入を検討してみる
- 実際にAI製品を取り扱ってみる(売ってみる)
- AI製品を取り扱える企業に転職する
なお私は、AIの素晴らしい可能性に感銘を受け、IT企業の営業として勝手にAIを売り始めたクチです。
元々営業として他の役割があったのですが、楽しくてこればかり続けていたら実績が出て、いつの間にかこの領域の専任担当になっていました。
今の会社には本当に感謝でして、末永く働かせてもらいたいと思っています。

【文系営業職向け】AI人材になるための方法~軸ずらしで目指す希少人材~まとめ
以上をまとめると以下です。
- 今後は「AIを作る」以外の領域に需要が高まる
- 目指す職種を明確にし、AIの概要を理解したら実際に動かしてみる
- 実務でAIに携わってみる ※これが一番大事。
記事の途中でも触れましたが、「AIを作る」領域において、我々は数理・統計に長けた大学院卒の秀才に敵うわけがありません。
それよりも、これまで培ってきた営業という経験を活かしつつ、スキルの軸をずらして希少人材を目指していきましょう。
「営業とAI」に関する記事は以下にまとめています。
是非こちらもどうぞ。
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